今年はあすの2月4日に「立春」を迎える。大寒から立春のころが最も厳寒の日が続き、春は名のみでと評される。春立つ日とは、もう寒さも峠を越えて、これからは春に向かうという意味であるという。
　ところが、今年はじつに暖かい日々が続いている。本日朝6時の気温が4℃であり、氷が張るどころか霜さえも降りていない。この冬は薄氷が、1〜2度張ったのみで、じつに暖かい冬であり、文字通りの「立春」である。

　お寺の菜園を覗いてみると、どの野菜も元気そのものである。冬であるから、大根、白菜、プロッコリー、カリフラワー、長葱等は定番であるが、最近は少し変わった野菜も参加していただいている。
　黒キャベツ、ディル、プチベールも緑色に加え、赤や白プチベールも頑張っている。カリフラワーも白ばかりでなく、紫、オレンジ、緑と華やかである。お檀家さんの新年会や勉強会に楽しんでいただいている。ときには、お裾分けとしても活躍している。

　お寺の菜園で、大変なのが播種時期である。夏野菜の播種時期は春の彼岸であり、冬野菜の播種時期は秋の彼岸である。お彼岸7日間に3日を加えて、10日間は寺を空けることができないので、菜園仕事をすることができない。すなわちお彼岸と農繁期とは完全に一致しているのである。
　春の播種遅れは、これから暖かい時期に向かうのでそう問題を起こさないが、秋は大変である。たとえば9月10日に播種した大根や白菜は12月の末には収穫ができるが、10日後の9月20日に播種した野菜は1月の末の収穫と、大幅に収穫時期に開きができてしまうのである。遅れた播種は、大根では多少小ぶりですむが、白菜などの結球野菜は結球しないで終わってしまう。
　今期のお寺の白菜の播種は、9月25日頃であるので、結球なしと思っていたが暖冬のお陰で、見事な白菜となった次第である。暖冬に感謝である。

　しかし野菜の社会経済は、喜んでばかりはいられない。暖冬による野菜の前倒しで値崩れが起こり、その後には品不足で高騰となるシナリオが待っているのである。

　暖冬による生活の楽は、刹那的には歓迎されるのかもしれないが、地球温暖化問題は、深刻に受け止めなければならない。私どもに何ができるかというと、はなはだ疑問ではあるが、「地球は確実に温暖化していること」を意識することから始めていこう。

　天主君山現受院願成寺住職
魚 尾　孝 久

　ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

　教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

　寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

　インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

　毎月二回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

　諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

　天主君山現受院願成寺住職
魚 尾　孝 久