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次回配信日は、12月15日です。





寿太郎ミカン


ミカンの花

 二人目の孫が生まれた。男の子で願成寺第六十一世となるはずである?一人目の女の子の孫が生まれたとき、誕生を記念して「レモンの木」を植えた。もう5歳になる孫は、「私のレモンの木」といって、レモンが好きな子となった。昨年より実を付け始めたので、レモンジュースやレモンパイを作ってあげた。
 二人目の孫の記念樹は、「ミカンの木」を植えた。静岡であるので、「寿太郎みかん」である。
ともに誕生したときに2年目の苗を植えたので、じつはレモンとミカンの木は2歳年上となるが、そんなことは問題ではない。

 無論、記念樹の管理は私の仕事である。広い境内には、樹齢300年を超える楠木が参道の入り口に一対そびえ立っている。私は願成寺の山門と位置づけている。そのほかにも先代住職が植えた樹木、私が植えた木、そしてお檀家さんから頂いた木、さらに孫ふたりの記念樹と、いずれも大切な木々であり、ひとつとして枯らすわけにはいかない。
 ミカンの木は、昨年秋に直径80pほどの大きな鉢に植え、居間のベランダに置いた。すこしでも大きな、すなわち培養土が多いほど良いのであろうと植えたのであるが、ひとりでは鉢の移動ができない。
 無事に冬を乗り越えることができ、活着を喜んだ。ところがである。今年の梅雨は長雨で記録的な雨量であり、病気が出ないかと心配であった。さらに夏になると、連日の猛暑で雨量も極端に少ない。
 ミカンの木には30枚ほどの葉があったが、この暑さのためであろうか、日に1枚ずつ葉が落ちていくのである。妻が「また1枚落ちたわよ。大丈夫かしら。」いう。朝に晩に見てわかっているが、言われるとさらに心配になる。とうとう5枚になってしまい、この猛暑に負けてしまったのであろうか、憂鬱な日が続く。二人目の孫はまだ1歳半なので何も判らないが、上の子は、弟の木と承知しているので、どのように説明しようかと思い悩む毎日であった。ところが、その後も5枚の葉は散ることもなく、茎も何とか緑色を保っているようにも思える。

 お彼岸を過ぎたころであろうか、どうも落ちた葉の付け根に芽のようなものが動き出した。妻が芽を吹いてきたと喜ぶ。葉とともに白い小さな丸いものが、葉ごとに付いている。そして日に日に、すこしずつ膨らんでいくのである。一ヶ月ほどして、花であることが確認できた次第である。5枚の葉で猛暑を乗り越え、花まで付けた「ミカンの木」に感動した妻とわたしであった。

 これは如何なる現象であろうか、「ミカンの木」の気持ちを想像してみた。苗木は専門業者によって育てられ、ミカン専門農家には行くことなく、仲間と別れひとりお寺にきたのである。彼には生きる場所を選ぶことはできず、きっと寂しさと不安にさいなまれたことであろう。彼はお寺で活着することに努め、何とか冬を乗り越えた。暖冬がありがたかった。
 しかしである。猛暑を迎え、「このままでは枯れてしまう」と悟った彼は、葉を一枚落とすことにした。すこしでも水分の蒸発を防ぐのである。植物の葉は、光合成によって成長のためのエネルギーを作ってくれるものであるが、同時に水分を蒸発させる機能をもっている。彼は成長よりも存命の策にでたのである。だれに教わったわけではなく、ミカンの木先祖代々から受け継いだDNAによったものだ。連日の猛暑のなか、ご主人はきちっと水やりをしてくれるが、春先に伸ばした根ではまだまだ充分に水を吸うことができない。彼は賭けに出た。命を保つため、日に一枚ずつ葉を落とすことにした。厳しい夏で、残りの葉が5枚になってしまい、これ以上落とすことは死を意味する。5枚の葉で耐えることにした。

 そしてあと一枚落としたところで、お彼岸を迎え安堵する私であった。台風の上陸もなく爽やかな秋を楽しんでいたが、この夏の経験を思うと「このままで生涯が終わってしまうのではなかろうか」と、また不安になった。「そうだ、花を咲かせよう。そして子孫を残そう」と、各節ごとに花を付けた。
 12月にはいって満開のミカンの木である。

 しかし、これから冬をむかえる日本では、花を咲かせても結実は無理であろう。そればかりか、10月に伸びた小さな葉も春を迎えられるか不安である。かわいそうであるが、花は摘み取ることにした。少しでも木の消耗防ぐためだ。
 4枚の葉と秋にでた小さな葉は、越冬は無理かもしれない。本格的な寒さをむかえる今月の末には、居間のなかに入れることを、妻と相談をしている。
 異常気象やコロナウィルスなど、自然の猛威にさらされた1年であったが、ミカンの木が頑張ってくれたことが、この1年のささやかな喜びとなった。

【寿太郎温州みかん】(じゅたろううんしゅう)
 沼津市西浦・内浦・静浦で生産されるみかんの代表「寿太郎みかん」は、昭和50年、山田寿太郎さんが、栽培中の青島温州の一部に枝の節間が短く葉色の濃い変異枝(枝変わり)を発見したところから歴史が始まります。
 山田さんは、この枝変わりの観察を続けたところ、たくさん実がなり、果実の着色時期が早く、甘みと酸味のバランスに優れた濃厚な味わいのみかんができることを確認しました。
 その後、石川温州やカラタチに接木をして苗木を育成し、増殖を図り、「寿太郎温州」と命名しました。
 現在では「寿太郎みかん」と呼ばれて親しまれ、沼津市のみかん栽培面積の5割を占めるまでに拡大し、出荷量では平成19年に青島温州を抜いてトップになりました。また、沼津市内では寿太郎温州を使った特産品の開発やマーケティング活動も盛んです。

 天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久









お 知 ら せ

  新コロナウィルス感染防止に配慮して、年忌法要はおこなっております。

 なお、お墓お参りは、密となりませんので、お出かけ下さい。

  暮れの「大掃除」は、外での活動で密となりませんので、おこないます。

 「豚汁」もご用意いたしますので、ご参加をお願いします。

  来年度の「修正会(新年会)」は、飲食を伴いますので中止といたします。

 

暮れの墓地大掃除のお知らせ

 毎年12月の第2日曜日は、暮れの墓地および境内地の大掃除となっております。お忙しい折とは存じますが、ご家族でご参加下をお願いいたします。当日は「温かい芋汁」を用意いたしておりますので、お掃除終了後お召し上がり下さい。

日   時
12月13日(日) 9時より (小雨決行)
お 願 い
できますならばお掃除の道具をご持参下さい。
駐車場が少ないのでご注意下さい。

 

辻 説 法 の 会

 お茶を飲みながら、法話をお聴きになりませんか!

日   時
12月18日(金) PM6:00〜7:30
会   場
茶房「 欅(けやき) 」 2F TEL:055-971-5591
講   師
大泉寺 小島 健布 師
参 加 費
無料 (飲み物は各自でお支払いください)
主   催
県東部青少年教化協議会(この会は、特定の宗派にこだわらず、
ひとりでも多くの方々に仏教を伝えることを目的に活動する団体です。)
次   回
1月15日(金) 同時刻  未 定

 

宗祇法師の会 (12月例会)

 日大名誉教授藤岡武雄先生を中心といたしまして、宗祇法師の顕彰と研究をする会です。
どなたでも参加できます。申込は不要ですので当日お出掛けください。

日   時
12月21日(月) PM1:30〜3:30
会   場
願成寺 TEL:055-975-1763
参 加 費
無料
主   催
三島ブランド 三島宗祇法師の会

 

 


お 願 い

 今まで、お塔婆や香花等は、寺にて焼却しておりましたが、法改定により、平成14年12月1日から「野焼き」や「簡易焼却炉」によります、すべてのごみ等の焼却ができなくなりました。現在、願成寺にあります3基の焼却炉もすべて使用禁止となり、撤去いたしました。
 したがいまして、今後、墓参の折いらなくなりましたお花などのゴミにつきましては、下記のごとく、ご処理をいたしたく存じますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。



ゴミの分別

 ゴミは、次の4種類に分別してお出し下さい。

 「燃えないゴミ(ビン・カン)」
 市のゴミに出します
 「土に返すゴミ(花・香花)」
 寺にてチップにして土に返します
 「土に返すゴミ(草・落ち葉)」
 寺にて土に返します
 「燃えるゴミ(紙・ビニール)」
 市のゴミに出します

いらなくなりましたお塔婆は、寺にてチップにして土に返しますので、ゴミ箱の脇にお置き下さい。
ゴミ箱は水屋(水道)の近くに用意いたします。
飲物や食べ物は、動物が散らかしますので、お参りの後はお持ち帰り下さい。
お手数をおかけいたすことばかりでございますが、ダイオキシンをなくし、きれいな地球環境のため、切にご理解とご協力をお願い申し上げます。








▼ 文学講座のお誘い
 願成寺公開文学講座といたしまして、『源氏物語』を読んでおります。写本(青表紙本、新典社刊)と活字本とを対校しての講読ですが、参加者全員で声を出しての読みますので初心者の方でもご自由に参加いただけます。
現在、「須磨」の巻に入ったところで、朧月夜との事件から都に居られなくなった光源氏が、須磨へと旅立つところです。
ご一緒に、光源氏とともに須磨への旅を始めましょう。

開 催 日
 毎月 第1,3土曜日(変更あり)
開催時間
 10時〜11時30分
場  所
 願成寺庫裡
費  用
 無料(教科書はお求めいただきます。 1000円〜2000円)
申し込み
 電話、FAX、E-mail

※ご参加をご希望の方は、檀家、非檀家を問わず、どなたでもご参加いただけます。







 ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

 教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

 寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

 インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

 毎月二回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

 諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

 天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久


 







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