玄関先にコアの鉢植えが置いてある。かれこれ十年以上たつが成長が遅く、直径が3�pほどであろうか。ハワイ諸島に生息する木であるので、暖かい静岡県といえども、やはり成長は遅いようである。幼木では庭に植えても寒さで枯れてしまう危険があったので、冬場軒下に入れるため鉢植えにしてあることも、育ちが悪い原因である。

　コアの木はマメ科ネムノキ亜科アカシア属の樹木であるので、いわゆるネムノキと同じ葉をしており、来訪者の多くは触るが、葉が閉じないことに不満そうである。
　植物に興味のある人は、「何の木ですか」と訪ねてくる。「コアの木です」と答えてもピンとこないようなので、「ハワイの木で、ウクレレの材料になるんですよ」と説明すると、おおかた「へぇー」いう返事が返ってくる。なかには「ウクレレの材料となるには、何十年もかかりそうですね。」と、話の種となる次第である。

　今ひとつの特徴は、葉っぱにある。成長してくるとネムノキの葉に、二葉の葉が混じってくる。大木になるとおおかた二葉になり、花が咲き種がなるというが、何時のことであろうか。孫の代かもしれない。
　ハワイにはたくさんのお寺があり、何度か訪問したことがあるので、コアの木の写真を探したが、残念ながらなかった。何時になるか判らないが、再訪した折インスグラム受けする写真を掲載することをお約束する。

　ところで玄関先には、コアの木ばかりでなく、「お茶の木」「ナギの木」「睡蓮」「ローズマリーの木」の鉢も置いてある。玄関を訪れる人たちは知るよしもないが、これらの鉢たちには大きな使命があるのである。
　それは玄関車寄せ（ポーチ）の柱を守ることである。この柱に車をぶつけると、車寄せ全体が崩壊してしまい、大変なことになるからである。鉢ならば壊しても謝ってすむ。実際にバックしてきてぶつかったことがある。運悪く睡蓮の石の鉢でバンパーが傷ついたが、タクシーでプロの運転者なので、申し訳ない気持ちだけで終わった。無論、カラーコーンも置いてある。

　おおかたのお檀家さんは、そのようなことは知るよしもなく、住職の趣味の植木鉢と思っているようである。それでいいのである。

　天主君山現受院願成寺住職
魚 尾　孝 久

　ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

　教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

　寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

　インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

　毎月二回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

　諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

　天主君山現受院願成寺住職
魚 尾　孝 久