知りあいの農家さん(所沢在住)から、野菜をいただいた。種類ごとに梱包し発泡スチロール詰め、クール便にて送られてくる。立派な野菜に感動するとともに、その手間暇とお気持ちに感謝する次第である。
定番である大量の「3尺インゲン」は、その名の通り3尺、その長さに驚く。さっと湯がいて、5pにカットして冷凍する。イベントなどの直会(なおらい)に、お肉と炒め立派な一品となるのである。今年はコロナ禍なので法要やイベントの中止が多いので、知りあいにお裾分けをさせていただいた。
そして今回の圧巻は、三色の「長ナス」である。紫色、緑色、白色とじつに美しく、その名の通り50pはあろうか。長さにも驚くが、トロッとした食感にも驚く。普通のナスと同じに調理するが、できあがりは別物である。何といっても、調理の前に、その美しい立派な姿を見せることである。その容貌に驚き、大きな期待感を持ってくれるからである。
夏の野菜といえば、「ナス」「キュウリ」「トマト」が御三家であるが、いずれも真冬でも販売されており、季節感が薄れてきているように思える。ナスは、キュウリやトマトと違いメインディッシュになれるところに、その存在感がある。また、それぞれの特徴から、キュウリとトマトは苦手とする人がいるが、ナスが嫌いだという人はほとんどいないのが現実であろう。
家庭菜園歴20年のわたしも、ナスは定番である。だれでもそれなりに作ることができるが、「マーケットで販売されているものよりもよいものを」モットーに作ると、害虫、病気、生理障害、水やり、整枝となかなか大変なところもあるが、夏野菜の王者はナスと考える。
わたしのも定番のナスに加えて、今年はイタリアのナスを作った。トキタ種苗の「ビステッカ」で、「ソフトボール大の迫力」「ステーキで食べたいイタリア紫丸ナス」のキャプションに惹かれ、栽培となった。
初めてとしては、うまくできたと思う。普通のナスが150gであるが、「ビステッカ」は300〜400gとそのボリュームに驚く。大きいばかりでなく、その美しさも他のナスに引けを取らない。
早速、半分に切って焼いて食べた。長ナスに負けないとろとろ感があり、そのボリュームから、充分メインディッシュとなった次第である。
コロナ禍のなか、ナス君たちが、令和3年の夏を楽しませてくれている。
【直会】なおらい[なほらひ]
祭りにおいて、神事の後神前にささげた神酒・神饌(しんせん)をおろして行なう共同飲食の宴会行事。また、そのおろした供え物。のうらい。
拙寺では、神道のお檀家さんも多く、精進落とし(葬式や法要などの後にもうけられる酒宴)も、直会という。
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久
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