お寺ばかりではないが、いま困ったことが起きている。
「お施餓鬼法要」「お十夜法要」の申込はハガキで、供養料3000円は郵便振替を利用している。いままで振込料は事業者(お寺)が負担する赤伝票を利用していたので、利用者には負担をかけていなかったのだが、この1月17日から、振り込む人にも110円の手数料が必要となった。
そしてコロナ禍であるため、法要はお檀家さんの参加は控えてもらっている。こんな状態が3年目となり、郵便料金までがかかるようになると、法要の申込が減ってしまうのではないかと心配をした。いわゆるコロナ禍による宗教離れである。
コロナ禍を理由とした人員整理や所属団体からの脱退、そろそろ区切りをつけたいと思っていた稽古ごと終了と、コロナ禍の利用とも思える事象が発生していると言われる。仏教界でも、永年継承されてきたお盆などの仏教行事の衰退を懸念する声が聞こえてくる。
しかし、拙寺においては杞憂であった。ありがたいことに法要の申込は、まったく減らないのである。永年の伝統行事は、そう簡単に無くなってしまうものではないように思われる。
こうしたコロナ禍であればこそ、日常を大切にしているためであろうか、またコロナ禍を理由にして、先祖や亡き人の供養の変更を考える人はないようである。
葬儀や年忌法要は、確かに家族中心となったが、しっかりと勤修されているといえよう。
ところで、玄関前には墓参用に「お線香」が、販売されている。正確にいうと販売ではなく、用意してあるというべきであろう。販売というと収益事業となってしまうからである。
販売ではないので、金額はなくお布施として相応の金額を入れてもらっている。永年のことであるので、金額を尋ねることもなく30円、50円、100円を入れてくれる。時にお檀家で無い方から金額を尋ねられると、原価が30円であることを伝える。
ところがその小銭の入金が問題である。いままでは年に2回ほど金融機関に入金していたが、硬貨取扱料がかかるようになったことである。お布施入れ(料金箱にあたるもの)には、7〜8割が10円玉である。
硬貨取扱料は金融機関によって多少違うようであるが、ゆうちょ銀行に10円玉100枚を入金すると、その手数料が550円必要となる。よって実質450円となってしまう。1円玉5円玉もあるが、料金は金種に関係なく硬貨の枚数であるので、もっと目減りしてしまう。仮にその料金10円玉で支払うと、また硬貨取扱料が550円かかるのである。50枚までは無料であるから、郵便局に行くたびに50枚の入金は、あまりにも現実的ではない。
困った次第である。
何時であったろうか、郵便局から赤いポスト形の貯金箱をもらったことがある。子供が小銭を貯めて郵便鏡に持って行くと、ほとんど手数料で無くなってしまうことになる。よもや、いまはそんな貯金箱を配布していないであろう。
追伸 この原稿を書いていたら、私も若いころ大きな瓶に小銭を貯めていたことを思い出し、倉庫から出してきた。私物であるが、これもどうしたものか。
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久
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