日中は厳しい残暑が続いていますが、この数日、朝夕はだいぶ涼しくなり、秋の訪れを実感されているのではないでしょうか。秋の訪れとともに、心配になるのが台風です。
気象庁によると、8月31日現在、猛烈な台風第11号は、南大東島の西約110キロにあります。1時間におよそ25キロの速さで西南西へ進んでいて、中心の気圧は920ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は55メートル、最大瞬間風速は75メートルで、「猛烈な台風」で、中心から半径95キロ以内では風速25メートル以上の暴風となっています。今後、発達しながら南西へ進み、9月2日は沖縄の南で動きがゆっくりとなりますが、4日にかけては北上し、沖縄地方に近づく見込みと、注意を喚起しております。
台風は、その規模を「大きさ」と「強さ」で表現されます。
「大きさ」は、強風域(風速15m/s以上の風が吹いているか、吹く可能性がある範囲)の半径で、
500km以上〜800km未満を「大型(大きい)」、
800km以上を「超大型(非常に大きい)」
といいます。第11号の強風域は220kmであり、500km以上ではないので大きさを表す形容詞は今のところ付きません。
「強さ」は、最大風速で区分して、
33m/s(64ノット)以上〜44m/s(85ノット)未満が 「強い」、
44m/s(85ノット)以上〜54m/s(105ノット)未満が 「非常に強い」、
54m/s(105ノット)以上が「猛烈な」
と呼びます。よって第11号は中心付近の最大風速が55メートルなので、「猛烈な台風」ということになります。
家庭菜園を楽しむ者には、「お天気」は最大時の関心事です。雨が降らないと、畑の耕耘ができず、種まきもできません。無論、雨ばかりだと作業ができないばかりか、野菜に病気まで発生してしまいます。
寝る前には携帯で明日の天気と1週間の天気を調べます。朝は目が覚めると、障子を開け空模様の確認です。おおかたの家庭菜園では、ハウスなど持っている人などは希でしょうから、お天気にしたがっての栽培となります。
つい先日までは、仕事の順位が明確になっていました。お寺の仕事、大学勤務、そして菜園を楽しむと。定年を迎え大学勤務がなくなりましたので、多少菜園に費やす時間も余裕ができたはずですが、加齢による体力と気力の低下は否めません。
多少時間に余裕ができると、本性が現れ「明日やればいい」となり、なかなか「明日」が来ないのです(2022.7.1のメルマガ参照)。忙しいなかにも、時間を作ろうとする気持ちは大切であることを学習しました。
ところでいうまでもなく、台風は一瞬のうちに「命」「家屋」「施設」「財産」を奪います。家庭菜園の破壊など微々たるものですが、丹精を込めた野菜の無残な姿は力をなくします。
台風の動きには誰もが注視していることは、いうまでもありません。台風が自分の町(三島市)から違う方向にむかったとき、つい「台風がそれて、よかったね」と口からでます。偽ざる気持ちですが、あまり「いい言葉」ではありません。
台風が右側に行けば「神奈川県」、左側に行けば「愛知県」に、時としては甚大な被害が出ているのかもしれません。仮に海にそれても、船舶や航空機は難儀をするでしょう。台風がどのような進路をとろうとも、通過地点は、甚大な被害が発生しているからです。
「台風がそれて、よかったね」という言葉には、「自分は被害がなかったから、よかった」という感が否めないからです。
「台風がそれて、よかったね」は、個人的な会話では許されるのかもしれませんが、地方局の番組ではあってはならないことです。
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久
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