連日、厳しい寒さが続いております。「大寒だから、しかたがないよ」との声が聞こえてくるように思いますが、「とにかく寒い」のひと言ですね。でも暦のうえでは、2月4日には「立春」を迎えますので、日に日に暖かくなるでしょう。
ところで先般27日夜から28日朝にかけて近畿地方には、10年に一度の強い寒気が上空に流れ込んで、寒波や大雪で交通機関がマヒした。JR京都線などで18本の電車が線路上で動けなくなり、乗客が最長10時間近く車内に閉じ込められたという。鉄道も高速道路も、規定の基準に達していなかったので運行したというが、結果は看過できない重大なものであった。
想定外という広報であるならば、誰にでもできる対応であろう。起きてしまった事象に云々するのは、後にしっかりと検証すればよいが、現在の状況や難しいことであるが今後の状況についてのアナウンスがないことが問題であろう。素人考えであるが、電車などは、駅と駅の間で止まることのない特別な運行はできないであろうかと思う。
長年、新幹線定期で東京に通っていたので、電車の運行には注意してきた。通勤鞄には、300tほどのペットボトル、レジ袋、ティッシュペーパー、携帯のバッテリー等が入っている。あるとき電車のなかで駅弁を食べていると、箸が折れてしまった。短くなった箸で難儀したことがあってからは、鞄に割り箸も追加したが、使うことはなかった。
平成27年6月30日いつものように,大学の講義のため東京に向かった。小田原駅に入線すると、「前方で電車か止まっておりますので、しばらく停車します」とのアナウンス、5〜10分の遅延はしばしばあるので気にはしていなかったが、さらに「新横浜、小田原間で車両火災のため、しばらく停車します」というので、火災では復旧しても授業には間に合わないので、大学に連絡を取り下車した。小田原駅には「のぞみ」や「ひかり」の追い越し線路があるが、開通するまで降りられないであろう。
お昼時なので、友人と会いランチすることにし、食堂に入るとテレビで詳細がわかってきた。乗客が新幹線のなかで焼身自殺をはかったという。
まず小田原の改札で旅行の中止を申し出て、「事故旅行中止 海小田原」証明(印)をもらう。食事後、在来線で三島に、改札で「事故返 三島」「誤入鋏 三島」の証明をもらう。新幹線の切符は入場すると左側に赤字で入場した日にち、時間、駅名が印字され、右側に使用済みの小さな穴があけられる。いずれも「誤入鋏 三島」で、本来の有効期限であれば、再利用できるようなる。なにか手放しがたく、再利用することはなく、今でも手もとにある。
息子が大学院生の時である。授業後20時ころ帰宅のため東京駅へ行くと、台風で新幹線が止まっていた。すでにホームに入っている電車は、何時動くかわからないが、三島までは行くという。三島には十数本の電車がはいる電車基地があり、東京駅着の電車を基地に入れないと、つぎつぎに到着する電車が溢れてしまうのである。
そこで息子はグリーン車の切符を買い、弁当に缶ビールにペットボトルを用意し乗り込んだ。そのころは携帯の電源はグリーン車には座席にあったので電池切れの心配もない。三島に着いたのは、翌日の朝4時であった。私が迎えに行くと、そう疲れた様子もなく降りてきた。新幹線が止まりそうなときは、クリーン車ということを知っていたからである。
幼稚園の時、2階建て新幹線(2階立はグリーン車である)に乗りたいということで、日帰りで大阪まで恐竜博に出かけての帰り、豊橋近くであろうか集中豪雨で規制雨量を超えているとのことで止まった。運転がいつ再開されるかもわからない。
すると、車内販売をしている女性がやって来て、「お子さま連れですので、よろしかったらお弁当と飲み物をどうですか?この新幹線に積んでいるのはこのワゴンと倉庫のほんのわずかです。」とすすめられた。2時間ほどで運転が再開されたが、早速購入した時の安堵感は計り知れないものがあった。
以来、大幅に遅延しそうなときは「グリーン車」となったわけである。
立春を前に、願成寺の河津桜も花芽を膨らませている。なかには「フライング」「目立ちがりや」「さき走る」「一番のり」を思う花をあるが、この数日の寒波に残念な結果になっているが。
もうそこまで春は来ているのである。
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久
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