WBCワールド・ベースボール・クラシック(World Baseball Classic)で、日本が優勝して、国中が歓喜に沸いた。わたしも大いに楽しませてもらった。
第1回大会は2006年3月にMLB機構が選抜した16か国・地域が参加する形で開催され、2009年3月に第2回大会を開催され、これ以降は4年ごとの開催となった。第5回大会は、2020年の開催予定であったが、コロナ禍により延期され本年の開催となったわけである。
その人気は、テレビの視聴率が物語っている。昨年の「第73回NHK紅白歌合戦」第2部(午後9時)の平均世帯視聴率30数%を上回る、40%越えであった。なぜこれほどまでに人気が出たのであろうか。優勝ということもあるが、視聴率の原点である「おもしろい、楽しい」に尽きるであろう。野球ファンばかりでなく、普段野球を見ることのない人々までを取り込んだところにあろう。
まず、ダルビッシュ有、大谷翔平、ラーズ・ヌートバー(Lars Taylor-Tatsuji Nootbaar)、吉田正尚の大リーガーの参戦と期待通りの活躍であろう。特にヌートバー選手の参加は目を引いた。お母さんが日本人であるということだが、WBCの出場資格はどうなっているのであろうか。
1 当該国の国籍を持っている
2 当該国の永住資格を持っている
3 当該国で出生している
4 親のどちらかが当該国の国籍を持っている
5 親のどちらかが当該国で出生している
6 当該国の国籍またはパスポートの取得資格がある
7 過去のWBCで当該国の最終ロースターに登録されたこと がある
(2020年現在ウィキペディアによる)
オリンピックの出場資格は、オリンピック憲章で「オリンピック競技大会に出場する競技者は、参加登録申請を行うNOCの国の国民でなければならない。」と、当該国の国籍が必要である。国別対抗といいながらも、WBCの出場資格がおおらかであるところも、野球を楽しむという原点にあり、ヌートバー選手の参戦となった。日本語は話せないというが、スポーツはこれほどまでに「心をひとつにする」ことができるものであり、さらにはムードメーカーですらあった。ヌートバー選手が持ち込んだという「ペッパーミルパフォーマンス」が、その象徴であろう。
そして大谷翔平選手のロッカー室での檄(げき)であろう。
「僕から1個だけ。憧れるのやめましょう。ファーストにゴー
ルドシュミットがいたり、センター見たらマイク・トラウト
がいるし、外野にムーキー・ベッツがいたりとか、野球やっ
ていれば誰しもが聞いたことあるような選手たちがいると思
うんですけど、今日1日だけは憧れてしまったら超えられない
ので、僕らは超えるために、トップになるために来たので、
今日1日だけは彼らへの憧れを捨てて勝つことだけ考えていき
ましょう。さぁ行こう!」
また、決勝戦で栗山監督がみせた「細切れ投手」の起用など、すべてが一致団結を生み出していったように思えてならない。
マラソンを始め大方のスポーツは、個人競技である。その選手の能力で勝負が決まるといえよう。しかし、球技は団体競技で、監督の下で一致団結してこそ結果の生まれるスポーツである。
話は変わるが、「花」というと、万葉の時代は「梅の花」を指すが、平安の時代になると「桜の花」指すようになる。梅はいちりん一輪の美しさを愛でるが、桜は花の木全体を楽しむものである。今まさに満開の桜を見ていると、侍ジャパンの一致団結を見ているようである。
【WBC開催経緯】
1990年代後半頃からメジャーリーグベースボール(MLB)では、東アジアや北中米カリブ海諸国の選手を中心にMLBの国際化が進み、彼らの様なアメリカ合衆国以外の国籍を持つMLB選手による活躍が著しくなった。また、2000年代初頭から日本やメキシコ等のアメリカ合衆国外でMLB開幕戦を開催するなどして、本格的なMLBの世界進出(グローバル化戦略)によるMLB拡大と野球マーケットの拡大、それに伴う収益の拡大を目指していたMLB機構のバド・セリグコミッショナーは「野球の世界一決定戦」の開催を提唱。関係各所で国際野球連盟(IBAF)主催の大会に出場していないメジャーリーグ選手を中心とした各国のプロ・アマ野球リーグ選手による国別世界一を決める国際大会の開催へ向けて協議がなされてきた。
【メジャーリーグベースボール】
メジャーリーグベースボールは、アメリカ合衆国、及びカナダ所在の合計30球団により編成される、世界で最高峰のプロ野球リーグであり、北米4大プロスポーツリーグの1つである[1]。厳密には、1903年に発足したナショナルリーグとアメリカンリーグの2つのリーグの共同事業機構で、両リーグの統一的運営をしている。日本では「メジャーリーグ」「大リーグ」とも呼ばれる。「大リーグ」の呼称は、メジャーリーグの別名「ビッグリーグ (Big League)」の訳語である。
【ムードメーカー】
(和製英語: mood maker)とは、主にその場にいるだけでその場の空気・雰囲気を明るくしたり盛り上げたり、好転させることが出来る力を持っている人のことを指す。主な特徴として、明るい、前向き、愛想が良い、聞き上手などの他、周囲への洞察力の高さによる気配りや目配りが出来ることが上げられる。スポーツなどにおいては選手としての実力とは別に持ちえる能力であり、技術で貢献する能力とは別にチームの雰囲気などの総合的な戦力にプラスを与えてくれる存在である。
(ウィキペディアによる)
【ペッパーミルパフォーマンス】
侍ジャパンの選手たちが、ペッパーミルで胡椒を挽くようなポーズをする理由とは?その意味と由来について注目してみた。侍ジャパンのチーム内で定着した「ペッパーミルパフォーマンス」は、「小さなことからコツコツと継続して進んでいけば、良いことが起きる」という意味が込められている。
打者自身がヒットやホームランを打つとペッパーミルで胡椒を挽くようなポーズをする。それに呼応するようにベンチでは複数の選手が同じポーズで返す。侍ジャパンで行われるそんなやり取りがクローズアップされ、今や日本中でペッパーミルパフォーマンスが浸透しているのだ。
元々「ペッパーミルパフォーマンス」は、カージナルスでプレーするラーズ・ヌートバーによるパフォーマンスであったが、同選手がWBC日本代表合流後にチームの団結力を高めるために、このパフォーマンスを取り入れることになったという。
日系選手としては初の侍ジャパン入りを果たしたヌートバー。代表初参加ながらその天真爛漫さで、早速チームに溶け込むなど適応力の高さを証明したが、試合では1次ラウンドで4試合連続安打を達成。守ってはスーパープレーを披露。闘志あふれるプレーで瞬く間に、ファンの心を掴んでいる。
(DANZN NEWSより)
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久
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