新年あけまして、おめでとうございます。
令和6年能登半島地震そして羽田空港の日航機と海上保安庁の飛行機事故を考えると、新年のご挨拶が憚(はばか)れ、亡くなられた方々に、哀悼の誠をささげます。
今年の賀状には、平經高(たいらのつねたか)の日記『平戸記(へいこき)』延應二年(1240)正月元旦の記事を引用させていただいた。
「天霽(はれ) 風靜 今朝四方礼拝 念誦 服薬」
浄土教に帰依した平經高(たいらのつねたか)の日記「平戸記(へいこき)」、延應二年(一二四〇)
正月元旦の記事である。天気も良く、風も穏やかである。年災消滅、五穀豊穣を祈り、四方礼拝し念誦している。
おそれながら、私どもも同じ気持ちで新年を迎えました。
令 和 六 年 正 月 元 旦
三島市川原ケ谷十八願成寺
魚 尾 孝 久
和 瑛
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12月末は晴天に恵まれ、風もなく気温も高く、誠に穏やかな年末であった。元旦も同様に迎え、年賀状に引用したように「天霽(はれ) 風靜 今朝四方礼拝 念誦 服薬」の通りと喜んでいた。
昨年は自動車認証の不正取得、政治家の裏金作り、自動車保険の不正請求、オリンピックでの不正、タレント事務所の性加害問題、アメフト部薬物事件、コロナ関連事業で過大請求など、不祥事が起きて、日本の国を憂えざるをえない事件が続発をした。よく考えてみると、一部の人たちが起こしたことであるが、国民そして日本全体の問題となってしまっているところに怒りを感ずるのである。
我々を喜ばしてくれたことは、『2023 WORLD BASEBALL CLASSIC』での優勝、大谷翔平の活躍、そして将棋の藤井聡太竜王(名人、王位、叡王、棋王、王将、棋聖)の王座を奪取して「八冠」を達成したことであろうか。素直に喜ばしいかぎりであった。
穏やかな元旦に「今年の幸多かれ」と祈ったばかりなのに、1月1日16時06分に石川県能登地方を震源とする地震が発生して、石川県内で最大震度7が観測された。多くの死傷者が出て、多くの家屋が崩壊した。テレビは、お正月の特番を中止して、大津波に対する避難を連呼した。お正月気分はすっ飛び、痛ましいかぎりである。すぐに2日の皇居における新年一般参賀が中止となり、同時に「第100回東京箱根間往復大学駅伝競走」の開催を心配した。賛否両論があろうが、開催された。同日10時津波注意報が解除され、関係者は安堵したのではなかろうか。
2日「令和六年能登半島地震」の余震や被害状況の報道中、羽田空港で午後5時50分ごろ、着陸した日本航空(JAL)の旅客機が滑走路で海上保安庁の航空機と衝突し、炎上したとのライブ映像がながされた。やるせない気持ちで床に就いた。
翌朝、早くにテレビをつけ続報を見た。同時に携帯電話のフライトレコーダーのアプリを開いて羽田空港をみた。無論C滑走路は閉鎖されているが、3本の滑走路で再開していた様子が見て取れる。
空港の周辺を3機のヘリコプターが、取材のためであろうか旋回していた。
自然災害を防ぐことはできないが、今回のできごとを自分に置き換えて、能登半島を伊豆半島に置き換えて、考えてみることが大切に思う。
令和6年を心して過ごしていきたい。
【平経高(たいらのつねたか)】
治承四年(一一八〇)−建長二年(一二五〇)六月。鎌倉時代中期の公卿。参議民部卿。『選択集』に序文を附して開版した兵部卿平基親は従兄にあたる。民部卿となった六〇歳以後浄土教に深く帰依し、その日記『平戸記へいこき』は数々の仏事や関与した念仏僧の名が登場する。見仏、敬仏など能声の恒例念仏衆一二人を擁していた。念仏衆以外にも正信、道観、蓮寂、善恵房、嵯峨念仏房などの名が見え、法然滅後の念仏教団の動きを窺うことができる。
「新纂浄土宗大辞典」より
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久
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