最近「AI(エーアイ)」という言葉を耳にすることが多くなった、NHKのニュースを見ていると、最初はアナウンサーが原稿を読んでいるが、途中から「AIによる自動音声でお伝えします」といって、ニュースの朗読が続けられる。断りがなければ、おおかたアナウンサーとAIとの区別がつかないであろう。AIに読み間違いがないから、「アナウンサーはいらないであろう」と、皮肉る人もいるようである。
ところで「AI」とは、何であろうか。文部科学省のホームページ「見てみよう、科学技術」に次のように説明がある。
AIとは人工知能(ちのう)(Artificial Intelligence(アーテ
ィフィシャル インテリジェンス))の略称(りゃくしょ
う)。コンピューターの性能が大きく向上したことにより、機
械であるコンピューターが「学ぶ」ことができるようになりま
した。それが現在(げんざい)のAIの中心技術(ぎじゅつ)、
機械学習です。
機械学習をはじめとしたAI技術により、翻訳(ほんやく)や
自動運転、医療画像診断(いりょうがぞうしんだん)や囲碁
(いご)といった人間の知的活動に、AIが大きな役割(やくわ
り)を果たしつつあります。
文部科学省では、AIが私たちの生活にもっと使われて便利に
なるように、理化学研究所のセンターなどでAIの基本(きほ
ん)となる数学やアルゴリズムの研究を進めています。
どうも、想像以上にAIが私たちの日常生活のなかに浸透してきているようです。ところで私は老人性難聴から、今年になって補聴器を着用するようになった。義父が補聴器を使っていたので、「ハウリングがする」「雑音を拾ってしまう」など、それとなく承知していたが、現在の補聴器にはAIが搭載されているのである。
聞こえ方は、その人の音域から強弱、左右の耳と千差万別であり、それに合わせた調整が必要となる。無論、認定補聴器技術者がおこなってくれるのであるが、さらにAIによる使用者の最適調整をおこなうという。
さらに驚いたことに、スーマトホンとリンクしており、音量を始め音質など自分にあわせて変えることができる。さらには紛失したときの「補聴器を探す」機能も搭載されているのである。
静かな部屋でテレビを見るとき、講演を聴くとき、会議に参加するとき、にぎやかな所での会話と、自分に最適な使用方法を選択しての使用となる。
ガラ携帯電話の人が、補聴器購入の前にスマートホンを買わなければと、笑いになった。また、「補聴器適合に関する診療情報提供書」があれば、補聴器の購入は、医療費控除になるという。スマホ購入も医療費控除になるかもしれないと、大笑いとなった次第である。
ところでAIというと、最先端のアイテムで何もかもが「良し」と思えるが、多くの問題をはらんでいる。
子供から大学生にいたるまで、AI(人工頭脳)による作文、レポート、論文が書かれるようになったのである。近年では作文など各種コンクールでは、生成AIでの作成は「不正行為」とされ禁止されている。また、アニメや楽曲の分野でも、生成AIよる著作権の侵害が問題視されている。
各大学でもAIの取扱方が問題となっている。すこし長くなるが、東京大学の取り組みを紹介させていただく。(東京大学HPより)
東京大学は、学生や教職員がChatGPTなどの生成AIと今後どの
ように向き合うべきか、見解を発表しました。
ChatGPTのような生成AIは、言語活動や知的創作活動の一部を
補完し、well-beingの向上に大きく貢献することが可能
ChatGPTが生成した文章の信憑性や、機密情報、個人情報流
出、著作権や試験の評価に問題が生じる可能性がある
社会に対する影響は大きいと予想され、今後どのようにしたら
問題を生じないようにできるのか方向性を見出していくことが
必至
このメルマガも生成AIによって書かれる日も、そう遠くないかもしれない。
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久
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