願成寺ホームページは、 こちら(https://ganjoji.com/)です。

次回配信日は、6月1日です。





久能山東照宮の家康公


厭離穢土

 昨年の大河ドラマ「どうする家康」は皆さまご覧になられたでしょうか?徳川家康公(1543〜1616)というと、戦国武将としても有名な方でありますが、熱心なお念仏の実践者でもありました。家康公はどのような思いで臨終を迎えたのだろうか。その思いを少しでも感じてみたいと思い、昨年の年末に久能山東照宮の家康公の墓前に手を合わせに向かいました。
 戦国武将が戦に向かう際に掲げる旗印は様々ですが、例えば、武田信玄公の旗印は「風林火山」でありました。「疾(はや)きこと風の如く 徐(しず)かなること林の如し 侵掠(しんりゃく)のこと火の如く 動かざること山の如し。」という「風林火山」のような戦い方を信玄公はしました。一方、家康公の旗印は、「厭離穢土欣求浄土(えんりえど ごんぐじょうど)」でした。この言葉の出典は恵心僧都源信の『往生要集』に由来します。
 まず、私たちが住む世界を「穢土」と表現しています。私たちは、自分の願いが思うように進んでいる時は「この世はパラダイス。人間の世界は最高だ。」と思いますが、それが一転して「まさか」の苦しみが襲って来た時に「なんて苦しい世界なんだ。」と感じます。つまり私たちは、この世をパラダイスと勘違いしているだけで、本当は「思うようにはならない苦しみの世界である。」ということを「穢土」と表し教えています。さらに六道輪廻の世界の一角に住んでいるだけで、人の世は止まることができない世界、むしろ抜け出すべき世界であるということで、「穢土を厭い離れ、生死輪廻を超えたお浄土を願いましょう」と『往生要集』の一節に示されています。それを掲げて、家康公も人生を歩まれたのです。

 では、なぜ家康公がこの偈文を旗印にされるほど大切にされたのでしょうか?
かの桶狭間の戦いで今川義元の軍勢は織田信長の5倍であったといいます。しかし結果は、今川勢わずか戦力5分の1の織田勢に惨敗してしまいます。家康公(当時は元康)は、領国に帰って三河松平家の菩提寺である大樹寺に逃げ込みます。この三河の大樹寺は浄土宗のお寺で、松平家八代のお墓が並んでいます。「もはやこれまで」と自分のご先祖様のお墓の前で「腹」を切ろうとしました。その状況をご覧になった当日の大樹寺ご住職、登誉(とうよ)上人が「何があったのだね。」と静かに事情を聞きます。そしてご住職は家康をこう諫めたといいます。
「貴方にはこの世でまだやらねばならぬことがある。厭離穢土、欣求浄土。汚れ切ったこの娑婆を離れ、阿弥陀さまが構えられた極楽浄土のような争いのない世界のように、今の社会を平和にするのは貴方しかいない。」と教えを説いたそうであります。
 それを聞いた家康公(元康)は、自害することを止まったと伝わっています。そのような仏縁があって「厭離穢土、欣求浄土」を記した旗を家康公は必ず戦場へ持参されたとのことです。

 他にも家康公がいつも手放さなかったのが、阿弥陀さまのお仏像でありました。その阿弥陀さまは現在東京の芝大本山増上寺様の安国殿に「勝ち運の仏さま」として納められております。通称「黒本尊(くろほんぞん)」とも言います。お香の煙によって黒くなったと言われています。さらに家康公は「南無阿弥陀仏」と常日頃からお写経をされていてその中には「南無阿弥家康」と自分の名前を入れた六字の名号もございます。家康公は、国を治めるとはいえ、沢山の命を奪う結果ともなっていきまいた。

  一声も捨てぬ誓いの嬉しさに 思わず積もる 弥陀の数々

 家康公の人生を伺い知ると、臨終の間際まで「罪重き我が身を助け給へ阿弥陀さま」とお念仏を申していたのではないかと推測するのであります。
 私たちも阿弥陀さまの「見捨てない」というお誓いを依り所として、お念仏の実践をしながら、少しでも世の中が穏やかになっていくような行いを心がけていきたいものであります。

 海福寺  瀧 沢 行 彦 









新型コロナウィルス感染防止のために

 年忌法要は、感染防止策をとりながら、親族中心におこなっております。

 なお、お墓参り、付け届けは、密となりませんので、お出かけ下さい。

 

辻 説 法 の 会

 お茶を飲みながら、法話をお聴きになりませんか!

日   時
5月17日(金) PM6:00〜7:30
会   場
茶房「 欅(けやき) 」 2F TEL:055-971-5591
講   師
正見寺 副住職 杉本 昌隆 師
参 加 費
500円 (飲み物は各自でお支払いください)
主   催
県東部青少年教化協議会(この会は、特定の宗派にこだわらず、
ひとりでも多くの方々に仏教を伝えることを目的に活動する団体です。)
次   回
6月21日(金) 同時刻  福泉寺 副住職 岩佐 剛昇 師

 

宗祇法師の会 (5月例会)

 日大名誉教授藤岡武雄先生を中心といたしまして、宗祇法師の顕彰と研究をする会です。
どなたでも参加できます。申込は不要ですので当日お出掛けください。

日   時
5月27日(月) PM1:30〜3:30
会   場
願成寺 TEL:055-975-1763
参 加 費
無料
主   催
三島ブランド 三島宗祇法師の会

 

大施餓鬼会のお知らせ

 お施餓鬼会法要を、下記のごとく厳修いたしたくご案内申しあげます。ご先祖の供養とともに、一日ではありますが、み仏の教えにふれます良い機会ともいたしたく存じますので、お誘いのうえお申し込み下さい(当日ご参加できません方には、お札を郵送申しあげます)。

日   時
5月30日(木)  【PM2:00】 法要
法   話
住職
供 養 料
3,000円
申 込 み
お参りの折、電話、FAX、E-mail(前日までに)








▼ 文学講座のお誘い
 願成寺公開文学講座といたしまして、『源氏物語』を読んでおります。写本(青表紙本、新典社刊)と活字本とを対校しての講読ですが、参加者全員で声を出しての読みますので初心者の方でもご自由に参加いただけます。
現在、「須磨」の巻に入ったところで、朧月夜との事件から都に居られなくなった光源氏が、須磨へと旅立つところです。
ご一緒に、光源氏とともに須磨への旅を始めましょう。

開 催 日
 毎月 第1,3土曜日(変更あり)
開催時間
 10時〜11時30分
場  所
 願成寺庫裡
費  用
 無料(教科書はお求めいただきます。 1000円〜2000円)
申し込み
 電話、FAX、E-mail

※ご参加をご希望の方は、檀家、非檀家を問わず、どなたでもご参加いただけます。







 ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

 教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

 寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

 インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

 毎月二回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

 諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

 天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久


 







本メールマガジンがご不要な方は、
下記URLから配信を解除できます。


https://ganjoji.com/mlmaga.html(解除・退会)