ウリハムシ(瓜葉虫)をご存知であろうか。家庭菜園をする者にとっては、この時期最大の敵である。甲虫類で、カブト虫やクワガタの仲間であるが、食性はまったく異なる。
漢字で書くと「瓜葉虫」とあるごとく、瓜の葉を好んで食べる。キュウリ、ズッキーニ、カボチャの葉をすごい勢いで食べるのである。まだ小さい苗などは、ときには枯れてしまうこともある。
その生態は、つぎのごとくである。
成虫越冬で、浅い土中で越冬する。春にウリ科の苗に来訪
し、周囲の土の表面や浅い土中に産卵する。幼虫はウリ科の根
を食害し、また地上に果実などがあるとこれも食うことがあ
る。蛹化(ようか)は土中で行われる。成虫は7月以降に出現す
る。(ウィキペディア)
5月、越冬を終えたウリハムシたちは、交尾の真最中である。生まれたウリハムシは、8月に植えるキュウリやカボチャを標的とするのである。
何としても防除しなければ、ほとんど収穫を諦めなければならない。まず苗を植えるときに、植え穴に農薬ネオニコチノイド系の粒剤をいれておく。白色マルチをしてあるので死骸をみつけることができ、確かに効果あるようである。しかし、この農薬は、浸透移行性によって効果でるものであるから、食害にあって初めて効果が生ずる。
ウリハムシが一口かじったならば死ぬわけでもないであろうから、相当量の食害があってこそ効果が出るものである。きっと満腹になってからの結果であろうか。飛び交うウリハムシと死んでいるウリハムシとを考えるに、この薬だけで済むようなことではない。
そこで捕獲作戦である。ともかく捕りまくることである。しかしウリハムシには羽があり、近づくと飛び去っていく。こちらは加齢で年々機動力が衰えてきているが、闘いは勝たねばならない。負けたら夏の食卓からキュウリがなくなるだけである。
そこでトラップ(簡易捕獲器)の作成である。捕獲器というと大袈裟であるが、500ccのペットボトル、上1/3を切り取り、逆さまにして差し込むだけである。そのなかに少し水を入れておく。さあ、トラップを持っていざ出陣。よく観察していると、ウリハムシは朝寝坊のようで、動きが鈍い。こちらは年寄り、目覚ましなどなくとも5時には目が覚める。よって、今のところ私のが優勢に勝負を進めている。菜園に着いたらまずウリハムシ捕り、少し作業をしてまた帰る前にもウリハムシ捕りである。多いときには日に50匹を超える成果である。
今のところ、幸いに私のが優勢である。しかし油断はできない。よもや1000ccの大きいペットボトルを使おうなどと考えてはいけない。キュウリ葉やネットが邪魔をして機動性が劣ってしまうからである。
【浸透移行性】
浸透移行性とは、農薬が散布された後に作物の体内を農薬の有効成分が移行していく性能のこと。
例えば、土壌に散布された粒剤の有効成分が、土壌中の水分などと共に根から吸われて、上層の作物の茎や葉っぱに移動して作物の体全体に農薬の成分が行き渡ったり、下の葉だけに農薬がかかった場合に農薬が直接かかっていない上の葉にも有効成分が届くといったあんばいです。(JAcom)
【トラップ】
(1)射撃の標的として、空中に粘土製の鳩を飛ばすしかけ。放鳥器。
(2)排水管の一部を湾曲させて常に一定量の水をためて、下水などから臭気が逆流するのを防ぐしかけ。
(3)蒸気配管の水を抜く装置。
(4)バネつきの軽二輪馬車。
(5)サッカーで、ボールの勢いを殺して、自分のコントロール下におくこと。
(6)動物を捕獲するための用具。わな。
(7)きめの細い黒ずんだ、柱状節理の発達した火成岩の総称。特に玄武岩。
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久
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