7月23日文化財の視察で、旧三島測候所庁舎、史蹟山中城址、米山梅吉記念館を訪れた。
旧三島測候所庁舎は、昭和5年に開設され、平成15年自動化され無人となった。平成19年三島市が購入して、登録有形文化財となっている。現在は老朽化しており見学することもできず、将来は解体の運命となるらしい。
解説によると、「三嶋大社より約1km南方に位置する。西面し、中央部を高くした立面を見せるRC造で、縦長窓を四周に配す。モダニズム風のつくりを基調とし、正面2階窓台を半円状に張り出し、玄関櫛形欄間にグリルとステインドグラスを嵌め込むなど外観に変化を付ける。」とあり、残念至極である。
史蹟山中城址は、2019年の台風で堀が大きく崩れ、現在も修復中で残念ながらパンフレットにあるような、障子掘を見ることができません。完全修復は、まだまだ時間がかかるようです。
米山梅吉記念館はその存在は知っておりましたが、初めて訪ねることができました。
ホームページによると、「静岡県は三島の西、長泉村(現在駿東郡長泉町)に幼時を過ごし、長じて、三井銀行に身を投じ、常務取締役、三井信託初代社長、退いて三井報恩会の理事長として全国に奉仕活動を続けた。外に大正9年、日本にはじめて東京ロータリークラブを創設し初代会長、さらに青山学院の初等教育に終身献身した。その人、名は米山梅吉と言う。
この人、一方では漢詩、和歌、俳句もよくした文人で、藍壷(あいつぼ)と雅号した。幼児よりよく遊んだ黄瀬川にかかる滝、藍壷(鮎壷とも言う)にちなんでつけられたという。」
とあり、日本の黎明期にあって、金融経済を牽引するばかりでなく、教育文化にもその力を発揮され、また日本にはじめて東京ロータリークラブを創設し初代会長を務めた人物である。
展示を見ていると、梅吉の母親が、「母は静岡三嶋大社の神官日比谷右京の娘うた」とあり、たいそう驚いた。日比谷家はすべて願成寺の檀家であるあるからである。さらには昭和44年記念館の建設の運びとなった。設計士に「瀬川篤」とある。瀬川氏もまた、お檀家さんである。そのころ三島で洋風建築の第一人者であった。なんとも言いがたい感慨に浸ったのである。
興奮も冷めやらず館外に出ると、なんと正面右側の植え込みに、龍舌蘭(りゅうぜつらん)が、みごとに花を咲かせている。昭和6年にも米山邸で咲いたという。それから93年ぶりの開花という。話には聞くことがあるが、初めての竜舌蘭の花である。
数十年に一度咲くという竜舌蘭、ネットで調べると、どうも近在では咲いているように思われる。
国道136号線を南下。八反畑交差点の次の信号機の右手に位置する山本司法書士事務所さんの敷地西側に、70年に一度開花するといわれるリュウゼツランが花をつけています(2018/7/23)。数十年に1度しか咲かない「アオノリュウゼツラン」の花が、愛知県岡崎市明大寺町の市立三島小学校で開花した(2022/8/2)。先日、静岡県の三島方面へ訪れた際、見かけた「リュウゼツラン」(2024/5/19)。リュウゼツラン13株一斉開花 開業以来初―熱海市初島の施設(2024/7/25)。
竜舌蘭は数十年に一度咲くというが、最近は身近なところで開花しているようである。
ここからは私の何の根拠のない偏見であるが、年々地球温暖化が進み、龍舌蘭も数十年に一度など流暢なことを言っていたら、花を咲かせないうちに暑さに負けてしまう。そこで竜舌蘭たちは、今のうちに花を咲かせることにしたのではないだろうか。地球温暖化への警告とも思われてならない。
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久
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