台風10号が迷走している。希に見る迷走で、被害が増加している。新幹線の遅延や計画運休、高速道路の不通など、台風に振り回された数日である。
私の感想であるが、最近どうも「二百十日」いう言葉を耳にしないように思える。ご承知のように、立春から210日目でよく台風が来るといわれている。今年(2024年)の立春が2月4日であったので、 その日から数えて210日目は8月31日(土)となる。まさに的中である。
ところで「二百十日」は雑節(ざっせつ)の一つである。今でも立春、春分、夏至など、季節を表す言葉として用いられているのが二十四節気(にじゅうしせっき)で、1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けたもので、「節(せつ)または節気(せっき)」といわれる。
さらに二十四節気と同様に、季節の移り変わりの目安となるものに雑節(ざっせつ)と呼ばれるものがあり、「二百十日」は、雑節のひとつです。
現在では、節気よりも「節分」「彼岸」「入梅」などの雑節のが馴染みがあるように思われる。
まさしく「二百十日」その日に台風10号が猛威を振っているのであるが、テレビ等で俗信的な扱いであろうためか、耳にしないようである。
Googleでの検索サイトでは、試験運用中としながらもAIによる概要がある。全文を引用しよう。
210日は、立春から数えて210日目にあたる「二百十日(にひ
ゃくとおか)」と呼ばれる日です。暦の雑節(ざっせつ)のひとつ
で、新暦では9月1日頃にあたります。
「二百十日」は、稲の開花期にあたる重要な時期で、台風がよ
く来ることから農家では厄日とされてきました。注意を促すた
め暦に記載されていますが、実際の統計的には「二百十日」は
特に台風が来襲しやすい特異日ではありません。近年では気候
の変動により、本土に影響する台風は「二百十日」以前のほう
が多くなっています。
妙に言い当てているようにも思う。
今ひとつ気になるのが、これほどAIによる解析や生成が注目されているのに、迷走する台風の進路をAIで解析しないのであろうか、不思議で成らない。
NHKのニュースでも、途中から「AIによる自動音声でお伝えします」といって、ニュースの朗読が続けられるのに。
【雑節】
社日(しゃにち)
春分、秋分に最も近い戊(つちのえ)の日で、1年に2回ある。
春には豊年を祈り、秋には成熟を祝う行事をそれぞれ行う。
節分(せつぶん)
元は四季にあったが、後に春だけについていわれるようになっ
た。立春の前日のことで、邪気を払う行事がなされる。
彼岸(ひがん)
春分と秋分の前後の3日ずつの計7日のこと。初日を彼岸の入り、
当日を中日(ちゅうにち)、終日を明けと呼ぶ。
土用(どよう)
立春、立夏、立秋、立冬の前18日間。
この期間は、土公神(どくじん)が支配するといわれ、土を犯す
ことは忌むべきこととされた。
八十八夜(はちじゅうはちや)
立春から数えて88日目をいい、種まきの目安の日。
入梅(にゅうばい)
二十四節気のうち、芒種の後の壬(みずのえ)の日。
梅雨はそれから31日間とされる。
半夏生(はんげしょう)
天より毒気を下す日という。夏至より10日後とされる。
二百十日(にひゃくとおか)
立春から数えて210日目の日。必ず暴風雨があるとされる。
二百ニ十日(にひゃくはつか)
立春から数えて220日目の日。二百十日と同じ意味。
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久
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