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次回配信日は、1月4日です。





鶴岡八幡宮


勅伝巻30東大寺講説1


勅伝巻30東大寺講説2

いそがしく 時計の動く 師走哉
(正岡子規)

 時間の長さは変わらないのですが、早く時が進んでいるように感じる年の瀬となりました。そんな暮れのポストには、普段届く郵便物と共に喪中のお葉書が届いています。「〇〇さん亡くなられたんだ」と驚き、その人を偲びながら、自分自身が年を重ねていることに気づかされます。

法然上人のご法語に
 人の心さまざまにして、ただ一筋に夢幻の憂き世ばかりの楽しみ栄えをもとめて、すべてのちの世をも知らぬ人も候(昭法全575頁)
とあります。「人の心はさまざまで、夢や幻のように儚いこの憂き世で楽しみや栄華だけを追い求めて後世のことなどまるで気にも留めない人もいる」という意味です。
 現代の人の死生観は、「あの世はないのではないか。この世で終わりなんじゃないか。」と考える方が多いと思います。しかし、法然上人の時代の人々は「明日が来るような感覚であの世がある」と感じていたことでしょう。悪いことをしたら、大変な未来(六道の迷い苦しみの世界へ堕ちてしまう)がやってくると切実に考えていたのです。

 平家を滅亡させ、鎌倉幕府を成立させた源頼朝も鶴岡八幡宮を東国の精神的中心とするなど、神仏に対する信心は深いものでありました。
 例えば、治承4年(1180)平家による南都焼討で大きな被害を受けた東大寺の再建を全力で支援しました。注目すべきは、復興までのスピードでした。1180年に東大寺が焼失して5年後の1185年に大仏様は出来上がり、伽藍は1195年に復興、約15年で再建を果たします。その速さは元禄10年(1567)2回目の東大寺が焼失した後、再建されるまでにかかった年月が140年間であったというので、当時どれだけ頼朝が速く復興を終えたのかということがわかります。
 ではなぜ頼朝はそこまで東大寺を早期復興させたかったのでしょうか?その理由は、頼朝が源平の合戦で多くの人を殺め、わが身の未来(後生)はどうなってしまうのだろうと不安を抱いたからではないかと考えられています。亡くなった人々の御霊を大仏様の力で鎮めていただきたいという思いから、東大寺の復興に力を注いだのです。
 そのように、天下人でさえもわが身の罪深さに後世を恐れ、仏様のお力を頼ったのであります。では、私たちの命の行く末はどうなのでしょうか。

盗みせず 人殺さずを よきにして 我罪なしと 思うはかなさ
(徳本上人)

 頼朝のような行いをせずとも、胸に手を当てれば、立派ではないわが身が見えてくるものであります。そんな命の行く末がどうなるかわからない私たちに、法然上人はお念仏をお勧めくださいました。

 法然上人は、東大寺再建の勧進職に推挙されるもご辞退され、代わりに俊乗坊乗源(しゅんじょうぼうちょうげん)を推薦しました。そして、建久2年(1191)の頃、再建半ばに乗源上人が法然上人を招き、『浄土三部経』を講じました。それを聞いた南都の三論、法相宗の僧侶たちが200人あまりも集まって来たそうです。その姿は、衣の下に腹巻鎧(よろい)を着て、もしも間違いでもあったらやり込めようと構えていました。そんな物々しい雰囲気の中、法然上人は「末代の凡夫(ぼんぶ)出離(しゅっり)の要法は、口称(くしょう)念仏(ねんぶつ)に如くはなし」(勅伝30巻)と「今の人々が輪廻から離れていく道は、声におとなえするお念仏の行以外にはありません」と阿弥陀様の願いにかなった行であるから間違いなしと東大寺にて説かれたのであります。その力強さに集まった僧侶は、随喜の涙を流したと伝わっています。

 未来の人たちが迷いの世界へ向かわないように法然上人が命がけで残してくださったのが浄土宗のみ教えであります。どうぞ、お忙しい年末をお過ごしであるかと思いますが、夢のように儚いこの世で、目に見えるところばかりを追い求めていくのではなく、阿弥陀様やご先祖様のことを忘れずにお過ごしください。皆様の未来が良い日々でありますように祈念申し上げ、メルマガの記事とさせていただきます。

参考勅伝写真 「法然上人絵伝中」 続日本の絵巻3中央公論社

 海福寺  瀧 沢 行 彦 









新型コロナウィルス感染防止のために

 年忌法要は、感染防止策をとりながら、親族中心におこなっております。

 なお、お墓参り、付け届けは、密となりませんので、お出かけ下さい。

 

辻 説 法 の 会

 お茶を飲みながら、法話をお聴きになりませんか!

日   時
12月20日(金) PM6:00〜7:30
会   場
茶房「 欅(けやき) 」 2F TEL:055-971-5591
講   師
普光寺 副住職 増田 元仁 師
参 加 費
500円 (飲み物は各自でお支払いください)
主   催
県東部青少年教化協議会(この会は、特定の宗派にこだわらず、
ひとりでも多くの方々に仏教を伝えることを目的に活動する団体です。)
次   回
1月17日(金) 同時刻  三明寺 住職 大嶽 正泰 師

 

宗祇法師の会 (12月例会)

 日大名誉教授藤岡武雄先生を中心といたしまして、宗祇法師の顕彰と研究をする会です。
どなたでも参加できます。申込は不要ですので当日お出掛けください。

日   時
12月16日(月) PM1:30〜3:30
会   場
願成寺 TEL:055-975-1763
参 加 費
無料
主   催
三島ブランド 三島宗祇法師の会








▼ 文学講座のお誘い
 願成寺公開文学講座といたしまして、『源氏物語』を読んでおります。写本(青表紙本、新典社刊)と活字本とを対校しての講読ですが、参加者全員で声を出しての読みますので初心者の方でもご自由に参加いただけます。
現在、「須磨」の巻に入ったところで、朧月夜との事件から都に居られなくなった光源氏が、須磨へと旅立つところです。
ご一緒に、光源氏とともに須磨への旅を始めましょう。

開 催 日
 毎月 第1,3土曜日(変更あり)
開催時間
 10時〜11時30分
場  所
 願成寺庫裡
費  用
 無料(教科書はお求めいただきます。 1000円〜2000円)
申し込み
 電話、FAX、E-mail

※ご参加をご希望の方は、檀家、非檀家を問わず、どなたでもご参加いただけます。







 ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

 教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

 寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

 インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

 毎月二回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

 諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

 天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久


 







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