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次回配信日は、1月15日です。





新春を迎えた願成寺(撮影 魚尾和瑛)


青表紙本源氏物語「初音」の巻


「初音」の巻冒頭

 新年あけましておめでとうございます。本年も「願成寺メールマガジン」をよろしくお願い申しあげます。

 さて、お寺では毎月2回「源氏物語講座」をおこなっております。無料で「おやつ」付きで、どなたでも参加できます。宮内庁書陵部藏青表紙本「源氏物語」を読んで、住職が講義いたしております。
 大学で講義していましたときには、学生に1頁ぐらいほど、立たせて読ましておりました。坐って読ませると、脇に置いた活字本を読むから立っての読みとなります。読めない学生は、読めない字にあたると、私が教えます。1行(およそ15字くらい)を読むのに1〜2分ほどかかるので、1頁(10行)では15分となり、授業になりませんので3行で「も少し頑張るように」といって次の学生に移ります。
 一般の講座では、決して参加者ひとりひとりに読ませることはいたしません。読ませたならば、だれも来なくなってしまうからです。寺での講座は40年以上続いており、毎回15人ほどの参加者です。第1回から参加している方はすでになく、すべて極楽浄土に旅立っております。続きは極楽浄土でおこなうことを約束しておりますが、決して私を呼ばないように固く言ってあります。みな約束を守ってくれており嬉しいのですが、私が極楽へいけるかどうかが心配でなりません。
 ほんのすこし残念なことは、お檀家さんの参加者が2人しかいないことです。ですが、親のあとを引き続いて娘さんが参加されている人、夫のアッシー君で参加する人、行きも帰りもタクシーで参加して下さる人がいると思うと、元気なうちは頑張りたいと思っております。

 ところで教科書に使っている青表紙本「源氏物語」は、三条西実隆が証本とした源氏物語であります(写真)。
 実隆は公家であると同時に、能書家であり国文学者であり、源氏物語の蒐集・編纂・普及に貢献した人物である。また60年間にもおよぶ日記「実隆公記」を残しており、当時の公家文化の知る貴重な資料であります。
 文明十八年(1486)正月大
 二日天晴、今日覧源氏初音巻、
とあり、毎年原則として2日には、源氏物語の初音の巻を読んでおります。
    新春を迎えた六条院は、この世の極楽浄土の如く麗らかで
   素晴らしかった。源氏は春の町で紫の上と歌を詠み交わし、
   新年を寿いだ。紫の上の下で養育されている明石の姫君に生
   母明石の御方から贈り物と和歌が届き、源氏は娘との対面も
   叶わぬ御方を哀れに思う。夕暮れ時、源氏は贈った晴れ着を
   纏う女君たちの様子を見に花散里と玉鬘、さらに明石の御方
   を尋ねる。その夜はそのまま明石の御方の元に泊まり、紫の
   上の不興を買う。(ウィキペディア)
 
 光源氏の邸宅六条院が建てられた初めてのお正月、光源氏をはじめ御方がたの様子が描かれていることから、お正月に初音の巻が読まれるようになったのでしょう。
 舞台はお正月であるが、我が子の将来のため、光源氏と紫の上に3歳の我が子を託した明石の上の歌には、手放し二度と会うことのできぬ母親の悲痛さが滲み出ている。

   年月を 松にひかれて 経る人に 今日鴬の 初音聞かせよ
   (おわかれして、ずいぶんたちますが、うぐいす(我が子、
    明石の姫君)も巣立った松(私、実の母親)に、うぐいすの
    初音−初便りをお聞かせくださいまし)

 明石の上の気持ちを察したのであろうか、光源氏は、その夜、紫の上のもとには帰らなかったのである。
 光源氏36歳、三歳のとき手放した姫君は8歳、明石の上27歳の正月である。

【三条西実隆】さんじょうにしさねたか
 1455-1537(康正1-天文6)
 室町時代後期の公卿,学者。公保の子。号は聴雪,非隠子。皇室が衰微し公家政治も解体に瀕した時代に,後花園,後土御門,後柏原3朝に歴仕し,各天皇の信任をうけて皇室経済の復興に努力し,1506年(永正3)従二位,内大臣にいたったが,この年辞任。16年出家。法名尭空。道号耕隠,逍遥院と号する。
 学者としての功績の第1は,一条兼良(かねら)のあとをうけて中世和学の発達を推進したことである。実隆は有職故実(ゆうそくこじつ)に精通して朝儀の保存につとめる一方,応仁・文明の乱(1467-77)で散失した和漢の書物の収集や書写にも努力した。能筆のゆえもあって染筆の依頼が多く,古典のほか《北野天神縁起絵巻》など絵巻物の詞書(ことばがき)等,実隆書写本は多数にのぼる。宗祇,肖柏らから《源氏物語》《伊勢物語》などの古典,桃源瑞仙から《東坡詩》などの講釈をうけるなど勉学にはげみ,同好の士を集めて研究会もひらき,先人の研究を集成して実隆自身も《源氏物語》以下日本古典や儒学をたびたび講義した。また宗祇からいわゆる古今伝受(授)(こきんでんじゆ)をうけ,これを子の公条に伝えた。実隆はまた和歌・連歌にもすぐれ,《新撰菟玖波集》の編纂に協力した。(後略ジャパンナレッジ)

【証本】しょう‐ほん
 証拠とすべき書籍。由緒正しい本文を伝えて、他のよりどころとなる本。

【『実隆公記』】(さねたかこうき)
 実隆公記は、室町時代後期の公家、三条西実隆の記した日記。期間は、文明6年(1474年)から天文5年(1536年)までの60年以上に及ぶ。同時代の一級資料。記述は京都の朝廷、公家や戦国大名の動向、和歌、古典の書写など多岐に及ぶ。自筆本が現存し、1995年(平成7年)に重要文化財に指定された。
 室町時代後期の公家文化を理解するのに有用な史料である。鎌倉時代から室町時代前期の日記とは異なり、儀式に関する記述はわずかで、多くが禁裏への出仕、歌会、寺社参詣、火災や戦乱などの記述で占められている。これは同時期の公家の日記に共通する特徴である。
 高橋秀樹によると、実隆は「中世で一番の著述家」として群を抜いており、実隆なしに中世後期の文化を語ることはできず、『実隆公記』なしに中世後期の歴史を語ることもできない、としている。
 実隆の死後400年以上にわたって、自筆の原本は三条西家に代々伝えられてきたが、太平洋戦争後に東京大学史料編纂所に移管され、同所に所蔵されている。翻刻版が、続群書類従完成会より刊行されている。

 天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久









新型コロナウィルス感染防止のために

 年忌法要は、感染防止策をとりながら、親族中心におこなっております。

 なお、お墓参り、付け届けは、密となりませんので、お出かけ下さい。

 

辻 説 法 の 会

 お茶を飲みながら、法話をお聴きになりませんか!

日   時
1月17日(金) PM6:00〜7:30
会   場
茶房「 欅(けやき) 」 2F TEL:055-971-5591
講   師
三明寺 住職 大嶽 正泰 師
参 加 費
500円 (飲み物は各自でお支払いください)
主   催
県東部青少年教化協議会(この会は、特定の宗派にこだわらず、
ひとりでも多くの方々に仏教を伝えることを目的に活動する団体です。)
次   回
2月21日(金) 同時刻  傳心寺 住職 井上 正信 師

 

宗祇法師の会 (1月例会)

 日大名誉教授藤岡武雄先生を中心といたしまして、宗祇法師の顕彰と研究をする会です。
どなたでも参加できます。申込は不要ですので当日お出掛けください。

日   時
1月27日(月) PM1:30〜3:30
会   場
願成寺 TEL:055-975-1763
参 加 費
無料
主   催
三島ブランド 三島宗祇法師の会








▼ 文学講座のお誘い
 願成寺公開文学講座といたしまして、『源氏物語』を読んでおります。写本(青表紙本、新典社刊)と活字本とを対校しての講読ですが、参加者全員で声を出しての読みますので初心者の方でもご自由に参加いただけます。
現在、「須磨」の巻に入ったところで、朧月夜との事件から都に居られなくなった光源氏が、須磨へと旅立つところです。
ご一緒に、光源氏とともに須磨への旅を始めましょう。

開 催 日
 毎月 第1,3土曜日(変更あり)
開催時間
 10時〜11時30分
場  所
 願成寺庫裡
費  用
 無料(教科書はお求めいただきます。 1000円〜2000円)
申し込み
 電話、FAX、E-mail

※ご参加をご希望の方は、檀家、非檀家を問わず、どなたでもご参加いただけます。







 ラジオが唯一の情報源であった時代から、新聞やテレビが加わり、小学生までがパソコンや携帯電話を利用している時代となった。ひと昔前の学生の楽しみというと麻雀とお酒が定番であったが、町から雀荘が消え泥酔した学生の姿は少なくなった。これも学生たちの娯楽に選択肢が増えたからであろう。世の中はあらゆる選択肢が増え、情報のアイテムが氾濫し、多様性の時代といえよう。

 教化活動の基本としては、葬儀や年忌法要を始め、修正会、彼岸法要、施餓鬼会、十夜法要と、あらゆる法要での説法であろう。印刷技術の発達によって掲示板伝道、文書伝道ハガキ伝道がおこなわれるようになった。拙寺でも「ハガキ伝道」や「テレホン説法」の経験があり、教化活動も多様化してきたなかで、時代のニーズにあった教化活動の一つとして、「 願成寺メールマガジン 」と名付けてメールマガジンを発行することにした。

 寺院という特質から、教化の対象となるのはお年寄りという現実は否定できない。また檀信徒全体からすれば、どれほどの人が、インターネットを利用しているかと考えるとその効用ははなはだ微少と思われるが、新しい形での教化活動として実験的に発信することにした。

 インターネットによるメールマガジンの配信は、お寺に足を運ぶことの少ないあらゆる世代の皆さまに語りかけることができるであろう。また拙寺のお檀家さま以外の皆さまとも、お寺とのつながりを持たせていただく方法としては最良と考えております。

 毎月二回とは申せ、浅才なわたくしにとってはかなりの重圧となっていくであろうことは想像にかたくない。三回で中止するわけにもいかず、発信を決意するのに一年もかかった始末である。

 諸大徳の応援をお願いいたしながら、皆さまとの交流の場としていきたいと存じます。よろしくお願い申しあげます。

 天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久


 







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