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私は不粋(ぶすい)な男である。毎年のことであるが、この時期になると桜の花を摘むのである。染井吉野が咲き終わると、関山の開花である。代表的な八重桜で、花弁は20〜50枚で実に豪華である。また染井吉野ほど大木にならないこと、開花時期が長いこと、強健で比較的寒さにも強いことから、海外でも植えられているという。
あまり大きな声ではいえないが、住職の目的は別のところにある。花を摘んで塩漬けにすることである。いわゆる「桜湯」であり、「桜あんパン」である。時には、ご飯に炊き込んで、「さくらご飯」と洒落込むのである。お寺での慶事には、この桜湯を振る舞うが、だれもしらない。それでいいのである。
摘むのは、写真にあるように5分から7分咲きがよい。満開のものは漬けると、ばらばらになるからである。ただこの花摘みに問題がある。これから咲こうとしている花を摘むのであるから、「なぜ?」「何と不粋なことを」ということになる。
説明をするのも大変であるから、人気のないときの花摘みとなる。今の時期は、5時を過ぎると明るくなる。日の出を待っての花摘みである。一遍に咲くわけではないので、3日間にわたっての早起きとなる。今年は370gの収穫をした。塩漬けにすると、およそ1000gの桜の花塩漬けとなる。桜湯1杯が1gであり、桜あんパンならば1000個できる計算となる。むろん市販されており、100g1000円前後であるが、安いものは外国産となる。
花は摘まれるために咲くわけではないので、さすがの私もあまり楽しい仕事でなく、また人目が気になることでもある。しかし、この程度の花摘みでは、花が摘まれたことはまったく判らないことに、ささやかな安堵感を覚えるのである。
今年の恒例行事も、無事に終えた。ところで、ときどき買い物に行くマーケットの店先でわずかながら園芸品を販売している。4月の初めには数株の桜の苗木はあった。つぎつぎに買われていったが、1本の関山だけが売れ残ってもう2週間も経つ。
急に愛おしく感じて、購入してきた。税込み500円であるが、定価ラベルが貼り変えてあったので、売れ残りディスカウントされたのであろう。
まだ15pほどの苗であり、花が咲くのは数年先であろう。私は観ることができないと思うが、玄関先の大きな鉢に植えるので、来訪の方に楽しんでいただけたら幸甚である。
【不粋、無粋】ぶ‐すい
(1)純粋でないこと。まざりものがあること。また、そのさま。
(2)粋(すい)でないこと。世態・人情の裏表、特に男女間の情の微妙さがわからないこと。意気でないこと。また、そのさま。ぶいき。やぼ。
(日本国語大辞典)
【関山】
「関山(カンザン/セキヤマ)」は、ソメイヨシノの後に咲く、濃いピンク色の華やかな花が特徴の代表的な八重桜の品種です。4月下旬に見頃を迎え、20?45枚の花弁を持つ大輪花を咲かせます。強健で海外でも広く植栽されており、桜湯にも使われるポピュラーなサトザクラです。
(AIによる概要)
天主君山現受院願成寺住職
魚 尾 孝 久
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